ステッピングモータを駆動する場合、適切な保護機能があったり、ステッピングモータ自体が発熱するため、より低消費電力にできるドライバがあれば、非常に便利です。今回は、ステッピングモータを駆動する際の、ドライバの保護回路や、発熱についてまとめたいと思います。
ステッピングモータを駆動する場合、熱設計は重要です。
基板での放熱の他、適切なヒートシンクなどを取り付ける必要があります。
ステッピングモータは、DCモータなどと異なり、発熱が非常に大きいモータなので特に十分注意する必要があります。
熱設計で重要なパラメータを簡単にまとめてみます。
<ジャンクション温度:Tj>
ステッピングモータドライバICを使う場合、ジャンクション温度に注意する必要があります。通常、ジャンクション最大温度や、接合部温度、Tjmaxなどと呼ばれます。このTjの最大値は通常は120〜150℃程度の設定になっていることが多いようですが、いろいろな文献を調べていると信頼性やマージンをみて20%程度低い120℃以下になるように設計するのがよいとされています。このTjの最大値を守らなければ、ICの特性が劣化したり、温度保護回路、サーマルシャットダウン回路などの熱遮断回路が動作し、ICの動作は停止してしまいます。安全に使うためにはこのTjの最大値は重要です。
<熱設計に対するIC選定時の注意点>
Tjの最大値を守るためにはどうすればよいのでしょうか!?使用条件や環境に応じたICの選定や放熱設計が必要となります。ICの発熱でいちばん影響を与えるのは出力ON抵抗やパッケージパワー、放熱板など、放熱面積です。簡単に考えるとICの消費電力はW=VI=I×R×Iとなるため、出力電流と出力ON抵抗でほぼ決まります(もちろん回路電流での消費もありますが・・・)。つまり、IC選定の上ではON抵抗が重要になります。ただし、ON抵抗が低いからという理由だけでは選定できません。もし、ON抵抗が低くてもパッケージパワーが低ければやはり発熱してしまうからです。そういう意味では、部品を選定する時には、ON抵抗だけでなく、パッケージパワーも十分検討しておきたいところです。また、基板設計する場合にも十分な放熱パターンを確保しておくのがよいと考えられます。1度パターンを作ってしまった後、放熱パターンを引き直すことやON抵抗の低いICに取り替えることは非常に困難だからです。ステッピングモータの場合、仕様やトルクが変わっても対応できるようなICが理想です。また、それでも足りなければ適切なヒートシンクに頼るしかありません。
上記の考察から、便利で使いやすいステッピングモータドライバを考えると、やはり、温度保護、過電流保護、過電圧保護、静電破壊耐量が高いなど、破壊しにくいドライバ、また、発熱が抑えられたステッピングモータドライバICを選びたいところです。
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