ステッピングモータの駆動方式は主に、ユニポーラ方式、バイポーラ方式があります。それぞれの方式についての特徴を簡単にまとめてみます。
バイポーラ方式でステッピングモータを駆動し制御する場合、相励磁に応じたHブリッジが必要です。また、Hブリッジを構成するためには上下のトランジスタが必要です。上側はNPNトランジスタやNchMOSで駆動することも出来ますし、PNPトランジスタやPchMOSで駆動することもできます。下側はNPNトランジスタやNchMOSで駆動できます。ただし、上側をNPNトランジスタやNchMOSで駆動しようとする場合、チャージポンプ回路やブートストラップ形式が必要になります。また、ブリッジで上下トランジスタを制御するため、同時ONしないような同時ONを防止する制御も必要です。そういう複雑な構成が必要なため、バイポーラ駆動専用の駆動用ICが無かった時代は、バイポーラ駆動方式は制御が複雑で使いにくかったそうですが、最近では専用の駆動IC(ステッピングモータドライバIC)が各半導体メーカから出されており、そういったステッピングドライバICのお陰でバイポーラ方式のステッピングモータが簡単に駆動できるようになっています。
PWM制御や、チョッピング駆動、定電流制御もIC側が制御してくれるので、非常に楽になっています。特に、専用ICを使った場合、各種保護回路がICに内蔵されているので、ディスクリートなど複雑な保護回路を組むより、はるかに手間が省け、かつ、安全にモータが駆動できます。最近では、ユニポーラより、このバイポーラ方式の方が主流になってきているようです。出力段も駆動回路も専用ICを使えば簡単に駆動できます。
<バイポーラ駆動の主な特徴>
例えば、2相ステッピングモータを駆動する場合
1、出力段
バイポーラステッピングモータドライバICを使えば、別途トランジスタを用意する必要はありません。ICに内蔵されているからです。また、ユニポーラと違い、モータの電流を双方向に流すため、大きな跳ね上がりなども少なく、スナバなどは必要ありません。ただし、ICによってはショットキーダイオードを付けなれければ正常動作しないモータドライバICもあるので注意が必要です。使うICが安くても、外付け部品が必要になれば意味がないので、その場合、外付けにショットキーが必要ないICを使うのが手っ取り早いのではないでしょうか?。
2、駆動回路
バイポーラステッピングモータドライバICを使えば、駆動回路は必要ありません。ただし、制御信号は入力する必要があります。例えば定電流駆動のモータドライバICの場合は、位相信号と電流切り替え用のDAC切り替え信号を入力する必要があります。これに対し、クロック信号を入力するだけで制御できるICもあるのでお手軽ではないでしょうか?ただし、お手軽さ、制御性を考えて、それぞれのメリット・デメリットを生かして、どちらが便利かを十分検討したいところです。
上記の考察から、便利で使いやすいステッピングモータドライバを考えると、やはり、温度保護、過電流保護、過電圧保護、静電破壊耐量が高いなど、破壊しにくいドライバ、また、発熱が抑えられたステッピングモータドライバICを選びたいところです。
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