ステッピングモータを駆動するためには、入力CLK信号や、駆動用パルス信号生成ロジック、モータを駆動するプリドライバ、ゲートドライバ、Hブリッジ出力など、さまざまな回路を用意する必要がありますが、ステッピングモータドライバICを用いると、それらはすべて内蔵されているため、簡単にステッピングモータを駆動することができます。本ページでは、市販のステッピングモータドライバIC、BD63725BEFVを題材に、ステッピングモータドライバICの使い方や、特徴について簡単にまとめてみたいと思います。
Fig.2 今回用いるステッピングモータドライバICのブロック図
ステッピングモータを駆動するために必要な設定を入力します。
上記のブロック図の場合、設定端子は、次のCW_CCW、MODE0、MOD1、VREF、MTHです。
ただし、H=2V以上、Lは、0.8V以下とします。
この値は通常、ICにより異なります。
1、CW_CCW:回転したい方向を設定。
⇒モータの回転方向を設定するので、回転させたい方向になるようH or Lを入力。
BD63725BEFVの場合は、Lで、Clockwise、HでCounter Clockwiseのようです。
詳しくは、データシートを確認ください。
2、MODE0、MODE1:駆動したいステップを設定。
⇒フルステップ、ハーフステップ、マイクロステップなど、駆動したいステップになるようH or Lを入力します。
BD63725BEFVの場合は、MODE0、1端子により、
・FULL STEP・・・フルステップ
・HALF STEPA・・・1/2ステップA
・HALF STEPB・・・1/2ステップB
・QUARTER STEP・・・1/4ステップ
が選定できるようです。詳しくは、データシートを確認ください。
3、VREF:駆動したい電流値を設定。
⇒VREF端子の電圧により、モータ出力に流したい電流値を設定できます。
簡単に設定したい場合は、抵抗分割で電圧値を決定し、入力します。
(何V入力し、何A流れるかは、ICにより異なります。)
4、MTH:Mixed Decay電流減衰率設定。
⇒MTH端子は、簡単に言うと、出力電流の波形整形が行える端子です。詳細は、別途説明しますが、この端子の電圧値を変えることにより、出力電流波形の形が変わります。イメージ的には、駆動時の波形ゆがみを綺麗なSin波や、各駆動波形になるように調整できます。詳しくは、データシートを確認ください。
Fig.3 今回用いるステッピングモータドライバICのブロック図
上記1、2により、基本動作をさせる準備が出来てきました。それでは、実際にモータをまわす手順を考えます。実際にステッピングモータをコントロールする端子は、CLK、ENABLE、PSです。これらを使って、実際にモータを回します。
●CLK端子:入力CLK端子です。ここに入力するパルスに応じて、ステッピングモータが回転します。立ち上がりエッジで動作し、1CLK毎に電気角が1つ進みます。どのように回転するかについて、基本的には、MODE0、MODE1端子の設定通りです。
●ENABLE端子:この端子をH or Lすることにより、モータを回転させるか、止めるかがコントロールできます。
●PS端子:PS端子を使って、このICをスタンバイ状態にするか?アクティブにするかが設定できます。
以上の設定で、ステッピングモータを駆動することができます。
この手順をもう一度振り返ると、仕様書に書かれているアプリケーション回路図の通り、外付け部品を接続し、どのように動かしたいかを設定。その後、CLKを入力し、ENABLE端子を制御すれば、ステッピングモータを回すことができます。
以上が、ステッピングモータドライバICの設定と駆動方法です。複雑な制御もICがすべてやってくれるので、本当に便利です。ステッピングモータ用のドライバICは、いろいろなメーカーから販売されているため、いろいろな会社の製品を一度調べてみては、いかがでしょうか?
このページは、趣味で作っているページですので、内容に関する特許や商標など、詳しく調査できておりません。もちろんそういった権利を侵害するつもりはないため、連絡いただけると削除させていただきます。